2010年8月1日日曜日

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34回出光イーハトーブトライアル大会

クラシック&ヒームカクラスのスタート前の集合写真。
今年で34回目を迎える「出光イーハトーブトライアル」は、8月28、29日の両日、この時期の東北とは思えない暑い岩手県で開催された。この競技は、バイクのイベントの中でも歴史は古く、あのパリ・ダカールラリーや鈴鹿8時間耐久レースよりも一年早い1977年にスタートしている。
「ツーリングトライアル」と呼ばれるこの競技は、コース上の起伏や大岩などを利用して作られたセクションと呼ばれる採点区間(約10〜20m)を、速さではなく地面に足を着かないで通り抜けるかを競うもので、三人一組でゴールを目指す。今年は4クラス約500人のライダーが全国各地から集まった。
今回紹介する「クラシックトライアル」クラスは二日間で行われ、この大会の看板クラスで第一回大会から続いている。スタート&ゴール地点は、岩手県の内陸部にある八幡平市の七時雨山荘。一日目、まずスタート後ライダーは、太平洋に面したリアス式海岸で有名な北山崎に近い、普代村の譜代浜まで走る。この間20個のセクションにトライする。
二日目のコースは一日目の逆で太平洋から内陸部に向け、やはり20個のセクションをトライする往復約380キロの道のりだ。沿道には手を振って応援してくれる多くの子供や老人がいて、集落に近いセクションには、ルールを理解している観客も集まるほど今や夏の終わりの行事に定着している。
往復380キロ40セクションに挑戦するべく三人はスタートしていく
では、トライアル競技やセクションでの採点方法について説明しよう。セクションの長さやその幅は、ケース・バイ・ケースで決まりはないが、簡単に通り抜けられないように、大きな岩や丸太などの障害物を越える設定や、急なターンあるいはヒルクライムなどが用意されている。このセクションを通過する際に、一度も足を着かないと「クリーン」と呼ばれる減点0。足付き1回は減点1となり、その後2回の足付きは減点2、3回では減点3。4回以上何回足を着いても減点4だが、転倒したりコースを外れた場合は減点5と最大の減点になる。またセクション内でエンジンがストップした場合も減点5だ。
このようにスピードではなく、障害物を乗り越えたり小さくターンするにはそれなりのテクニックが必要だが、同じく採点にもかなりの目利きが要求される。そこでこの大会では、チーム内で参加者同士が交代にオブザーバーと呼ばれる採点員に変身して、お互いの採点をする事になっている。
ここまで来るとたかがバイクの競技(遊び)に、やたらと細かい決まりがあるなと思いませんか。そう、トライアルはゴルフやクリケットなどと同じく、イギリスで生まれたスポーツなので、お互いを尊重し合いマナーとルール重視のバイク競技なのである。
ではなぜイギリス発祥のトライアルが、岩手で開催されているかについて説明しよう。
大会会長の万沢安央氏と副会長の成田省造氏が、スコットランドで現在も開催されているスコティシュ・シックスデイズ・トライアル(SSDT)に1973、74年に出場した事がきっかけとなった。
その後各地で会場を探した結果、景色がスコットランドに似ているということから、この地で開催する事になったという。この私も第1回大会からオフィシャルカメラマンとして、イベントの記録をこの34回大会まで担当させてもらっているが、毎回新鮮な気持ちで景色を見ている。さて前置きが長くなったので、勝敗の話に移ろう。
譜代浜の特設ヒルクライムセクションに挑む成田亮。125ccのバイクで初のクリーンだ。
北上山系が一望できる「さんだいなべ」セクション。太平洋から白神山地まで360度自然まっただ中。
一日目は、副会長の成田氏の次男成田亮君(35)が20セクションすべてにクリーンし減点0でトップに立つ。続いて昨年の覇者三塚政幸(45)が減点1と減点2の合計減点3で第2位につけた。一日目の成績から優勝争いはこの二人にしぼられた。
二日目は一日目の宿となった田野畑村の羅賀荘前を、朝7時半から一分おきに三人一組でスタートしていく。ライダーの移動に会わせてこちらも追いかけるが、より多くのライダーを撮影したいので、時にはコースのショートカットもする。前半のセクションでは上位の二人は共にクリーンを重ねて行くのを目撃した。  

中盤のセクションの二人の様子はというと、成田君はニコニコと余裕すら感じられる。
一方三塚君はニコリともしない。私から見るとどこかで減点を食いそのためふてくされているのかとさえ思えた。
減点数をライダーには確認しにくいので、自分で現認するしかないが、写真に向かないセクションを通り越す事もあるので、全部見てまわる事は出来ない。あとでわかった事だが、この通り越した第5セクションで、成田君が減点1を取ったらしいと情報が入ってきた。これで二人の差は2点と差が詰まった。三塚君の黙りは辛抱する顔だったのだ。二人の差は2点のまま最終セクションに優勝がかかってきた。
先にトライしたのは成田君。慎重に下見をしていたはずだが、ぬれた丸太に思わず足が出てしまった。それも2度の足付きの減点2点。それを見ていた三塚君は、下見のし直しをするほど慎重に下見を繰り返した。もう気がついたでしょう。この成田君の減点2点で二人の差は無くなっていた。ここで三塚君がクリーンを出すと同点になる。大きく息を吸い込んでスタートした昨年の覇者は、見事に最終セクションをクリーンした。
二人とも減点3の同点となったが、大会規則の同点、同クリーン数の場合には年長者の勝ちという規定で三塚君の二連勝で幕が下りた。最後に万沢会長が「亮君来年があるよ」と声をかけると、それまでと変わって成田君に笑顔が戻ってきた。
<撮影・文/鈴木雅雄JOPPA  協力/テレビ岩手>

勝負を決めた最終セクションのステアケース。1mもある段差を乗り越える。

2連勝を決め、TVのインタビューに応える三塚政幸。
また、この大会の詳細は、出光イーハトーブトライアルの公式HPでもご覧いただけます。
http://www.sukaheru.net/~ihatove/

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